6月に映画館に行く機会がありました。
劇場ポスターの中には、『ジブリ最新作』の文字。
金曜ロードショーでジブリ作品が放送されていたら、大体見るかな~ぐらいのジブリ好きですが、新しい映画が公開されるなんて、全く知りませんでした。
公開前に映画の宣伝は行わない、という方針だったようですね。
わたしもどんな内容なのか、全く知らない状態で、映画を観に行ってきました。
ところどころ物語のネタバレになる部分もありますので、ご注意ください。
率直に感じたこと
う~~~~~~~~ん‥‥。難解。
宮崎駿監督が、何かを強く伝えたいんだろうなぁ、訴えたいんだろうなぁという、魂のようなものは、ひしひしと映像から感じました。
しかし、目まぐるしくシーンが入れ替わっていくので、考えなければいけない要素が多すぎて、なかなかわたしの頭のレベルでは、そのはやさに思考がついていくことができませんでした。
ものすごくファンタジーなんだけど、そう単純でもないから、物語にうまく入り込めないというか。
感想を言葉にするのが、すごく難しい作品だなと思います。
何回か観てみると、新しい発見が見つかったり、理解が深まったりする作品かもしれないです。
ただ、前情報なしで観ると、頭が非常にこんがらがりました。
自分なりに解釈したこと
非常に難解ながら、物語の理解に努めようと意識して観た結果、この映画は『家族の物語』でもあるのかなぁと感じました。
家族をつくる困難さであったり、家族になっていく過程での葛藤であったり、『家族』って難しいよね、というメッセージもあるのかなぁ、なんて。
この物語は、主人公のマヒトが、戦争で実母を亡くすシーンから始まります。
実母の死にひどくショックを受けたマヒトですが、その心の傷もまだ癒えていない状態で、実父が再婚することになりました。その再婚相手というのが、実母の妹、ナツコです。そしてナツコは、すでに実父との子どもを妊娠しています。
複雑な家族関係だなと思いましたが、昔はよくあったことなのかもしれないなと。
よくあったことなのかもしれないけれど、いくら時代とはいえ、叔母であるナツコのことを、いきなり「お母さん」と呼べるかなぁとも思いました。
わたしはジブリ映画の中でも、特に『コクリコ坂から』が好きなのですが、登場人物の一人である風間俊は、自分を生んだ親と育ての親が違います。それでも、育ての親との関係性が良さそうなところは伝わってきます。
血のつながりはなくても、愛があれば家族になれる。
逆に血のつながりがあっても、家族として生きていくのが難しい家庭だってある。(マヒトとナツコの場合は、血縁関係はあるものの、本来は叔母と甥という関係なので、また複雑)
でも、どちらにしたって、家族として生きていくには、いろんな困難があるんだよってことなのかなと思いました。
物語が動くきっかけとなったのが、ナツコの失踪です。
大叔父が建てたという、塔のある洋館に、マヒトはナツコを探しに行きます。
マヒトはその世界で、不思議な出会いや、様々な困難と遭遇します。それらは、実母を失った悲しさ、実母への愛、ナツコ叔母さんを母とは認められない葛藤など、次々と湧き上がる整理できない感情と向き合う過程でもあったのかなぁと思いました。
大叔父が建てたという塔のある洋館は、家族を象徴するものだったと思います。しっかりとは覚えていませんが、塔(世界?)を維持していくためには、血のつながりがある者しか継承できない、という決まりでしたよね。
マヒトがその塔に足を踏み込んだ時点で(ナツコを探しに行くと決めた時点で)、ナツコと家族として向き合っていく、というマヒトの覚悟が感じられたような気がします。最終的に、物語の最後には「ナツコ母さん」とマヒトは呼んでいましたね。
また、ナツコの葛藤も感じられました。
姉を亡くしたあと、姉の夫であった人と結婚し、子どもを授かる。そして、甥であるマヒトを、自分の子どもとして育てていくことになった。
なかなか短時間で、はいおっけー!なんて受け入れられるような出来事ではないと思います。
マヒトは自分に対して心を開いてくれる様子もない。
初めての妊娠で、おそらく不安なこともあったと思うし、つわりでしんどそうにする描写もありました。
ただでさえ妊娠中って情緒不安定になるから、お腹の中にいる赤ちゃんの母親になることと、マヒトの母親になることが同時にやってきて、それはナツコも混乱するよなぁと思います。塔に行ったのも、現実から逃げたかったのかもしれないし、マヒトに対して、「大嫌い!」という言葉をぶつけてしまうところも、そういう不安定な気持ちが影響していたからだったのかなぁと。
まとめると、マヒトが塔の中で遭遇した目まぐるしい出来事の数々は、ナツコを母として受け入れるまでの心の葛藤を描いていたのかなと、思いました。マヒトに対するナツコの気持ちも同様に。
どんな家族の形であっても、いろんな困難や試練とぶつかります。それをどう乗り越えていくのか。
家族って、難しいです。
わたしのお気に入り
拙い感想をつらつらと書きましたが、わたしはキリコさんが好きです!!というのが、一番の感想です(笑)千と千尋のリンさんみたいな姉御肌で、ちゃきちゃきしていてかっこよかったです。
あと、食事シーン。歴代のジブリ作品でも、物語の深いところではなく、食事シーンや、小物がきらきらしているシーンが強く記憶に残るタイプです(きらきらとは、ナウシカが腐海で胞子を集めるところや、耳をすませばの地球屋の時計、マーニーの日記帳、トトロのドロップ、アリエッティの角砂糖などのことを指しています。わたし基準ですよ)。
キリコさんやヒミのお家での食事シーンも、お腹がぐうっと鳴ってしまいそうなぐらい魅力的に、美味しそうに見えました。たっぷりパンに塗っていたのは、バターとジャムかなぁ?今度再現してみよう。
キリコさんのお家が、アリエッティの世界観を思い出させて、すごくわくわくしました。あと、『思い出のマーニー』も好きな作品なので、マヒトとヒミの関係が、アンナとマーニーを彷彿とさせて、素敵だなって思いました。自分の母や祖母が、自分と同年代の姿で目の前に現れるって、すごくファンタジー感じます。
物語自体はなかなか難しかったですが、歴代のジブリ作品を感じられる場面もあり、もう一度あの作品を見直したいな、と思うような作品でした。
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